Hydrology Basics

水文解析の全体像

水文解析は、雨量・流域・地形・土地利用・河道条件をもとに、水がどこに、いつ、どれだけ流れるかを評価するための技術です。

まず押さえるべき水収支

最も基本となる考え方は、流域に入ってくる水と出ていく水、そして貯留される水の収支です。短時間の洪水解析では降雨と流出の時間応答、長期解析では蒸発散や地下水、貯留変化も重要になります。

P = Q + ET + ΔS + L

P: 降水量、Q: 流出量、ET: 蒸発散量、ΔS: 貯留変化、L: 深部浸透などの損失

実務では、この式をそのまま使うだけでなく、対象時間スケール、流域の大きさ、利用できる観測値によって、どの項目を詳細に扱うかを決めます。

水循環と水収支の関係
図1 水文解析では、降雨・浸透・蒸発散・表面流・河川流出を一連のシステムとして扱います。

目的別の解析メニュー

目的主な入力主な出力確認ポイント
洪水流出解析時間雨量、流域面積、損失、流出パラメータハイドログラフ、ピーク流量、総流出量ピーク時刻、ピーク流量、観測値との再現性
設計雨量・確率雨量長期雨量データ、年最大雨量、継続時間雨量再現期間別雨量、降雨強度式データ年数、外れ値、適合分布
流域特性解析DEM、流域界、河川網、土地利用、土壌集水面積、勾配、流路長、流下時間座標系、解像度、流域界の妥当性
河道追跡上流ハイドログラフ、河道条件、追跡係数下流ハイドログラフ、遅れ、減衰時間刻み、ピーク遅れ、質量保存

学習順序

雨を知る

降雨量、降雨強度、継続時間、面雨量、有効雨量を整理します。

流域を知る

面積、勾配、流路、土地利用、土壌、貯留特性を確認します。

流れを求める

流出モデル、河道追跡、ピーク流量、総流出量を計算します。

結果を検証する

観測値、現地条件、既往災害、感度分析で妥当性を確認します。

地図で見る

GIS を用いて流域、河川、標高、土地利用、解析結果を可視化します。

資料化する

条件、入力、計算式、結果図、考察を説明できる形にまとめます。